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ヒグマからの恩恵を受け取ってきた町で、熊と生きる社会を再設計するリジェネラティブツアー


【開催レポート】ヒグマと生きる未来を、雪深い森で描き直す。八雲町リジェネラティブツアーを終えて

2026年2月初旬。厳しい寒さの中、北海道八雲町で一つの挑戦的な試みが幕を閉じました。

タイトルは「ヒグマからの恩恵を受け取ってきた町で、熊と生きる社会を再設計するリジェネラティブツアー」。

東京、徳島、そして北海道内から参加者が集まり、八雲町の象徴である「熊」を軸に、人間と自然の境界線を問い直した3日間の記録をお届けします。


1. 「過去」を紐解く:木彫り熊の裏側に流れる、畏怖と感謝の歴史

八雲町郷土資料館の学芸員による講義や解説を受けて、参加者は縄文土器に刻まれた熊の意匠や、アイヌ文化における「キムンカムイ(山の神)」の精神性を学びました。

特に強調して語られたのが、八雲町の名産として知られる「木彫り熊」のルーツです。かつての領主・徳川義親がクマ狩りを推奨した背景や、なぜスイスから木彫り熊を持ち込んだのか。そこには「排除」だけではない、厳しい開拓期を生き抜くための「共生」の形がありました。

「ただの工芸品だと思っていた木彫り熊が、今は共生の在り方を考えるシンボルに見える」

参加者から漏れたその言葉が、この旅が単なる観光ツアーではないことを物語っていました。

2. 「現在」を体感する:雪上に刻まれた、野生の鼓動

2日目、一行はスノーシューを履き、現役の猟師と自然活動家と共に冬の山へ。

静寂に包まれた森の中で、私たちは「彼らの気配」を五感で探しました。

  • 雪上のフィールドワーク: 木に残された生々しい爪跡、そして熊の通り道を想像させる地形。
  • プロの視点: 猟師や自然活動家の眼差しを通して語られる、近年のヒグマの行動変化と、人里との距離。

冷たく澄んだ空気を吸い込み、雪を分ける音だけが響く中、私たちは自分たちが「自然の一部」であり、同時に「よそ者」であることを肌で感じました。

3. 「未来」を再設計する:答えのない問いに向き合う夜

夜はペコレラ学舎に日頃から熊と向き合い続ける生産者、猟師、ガイドに加えて観光事業者が集い、熱いトークセッションが繰り広げられました。

なぜ今、八雲町でこれほどヒグマの出没が増えているのか?

対策としての「駆除」の是非、農業被害、そして生態系の維持。登壇者それぞれの立場から語られるリアルな葛藤に、参加者からも鋭い質問が飛び交いました。

最終日のワークショップでは、一人ひとりが「人とヒグマ(自然)との向き合い方」「このツアーの今後の展開について」をディスカッションしました。

「共生」という美辞麗句では片付けられない、痛みや責任を伴う「再設計(リジェネラティブ)」の第一歩が、ここ八雲で踏み出された瞬間でした。


滞在の舞台:対話が生まれる「ペコレラ学舎」

今回の拠点となった廃校リノベーション施設「ペコレラ学舎」は、夜遅くまで対話の場となりました。

かつて多様な生徒が過ごした学び舎で国籍や立場を超えて「命」について語り合う時間は、まさにリジェネラティブツアーの理想形。

参加者たちは、Wi-Fi完備の快適な環境で日常の仕事に向き合いながらも、一歩外に出れば野生と隣り合わせの思考に没入する。この「コントラスト」こそが、私たちのツアーで体感できる価値であることを再確認しました。

※この写真は過去のイベントのものです。

編集後記:旅の終わりは、新しい共生の始まり

3日間を通して感じたのは、ヒグマという存在が、私たちに「どう生きるか」を問いかけているということです。

参加者の一人は、「自然の在り方は正解がないもの。人間だけの都合で決めるのはおこがましいということを実感できる旅だった」と語ってくれました。

八雲町はこれからも、ヒグマという偉大な隣人とともに歩み続けます。

今回生まれた対話の種が、日本そして世界各地でどのような「新しい共生」の花を咲かせるのか。

私たちは、この町の雪が解け、また新しい季節が巡るのを、少しだけ背筋を伸ばして待とうと思います。


次回のプログラム開催については、HPやSNSで配信予定ですフォローしてお待ちください。

https://www.instagram.com/discover.southern.hokkaido


Feb 02, 2026 Updated