窓の外には函館の秋の空が広がり、心地よい風が街を吹き抜ける10月。シエスタハコダテ「Gスクエア」は、これまでにない熱気に包まれていました。
今回のテーマは、一見突き放すような「地域の未来なんて知ったこっちゃある?」
でも、そこには「誰かに決められた未来ではなく、自分たちの手で、楽しみながら明日をつくっていこう」という、強くて優しいメッセージが込められていました。2日間にわたり繰り広げられた、五感を揺さぶる対話の記録をお届けします。
9つの視点で描く、道南の「これから」
1. ぼくたちの地方創生 〜なにが君のしあわせ?〜
オープニングは「幸せの原点」を問い直すセッション。大きな「地方創生」という言葉に身構えるのではなく、まずは自分自身が何をして喜ぶのか、何を大切にしたいのか。登壇者たちが語る言葉は、まるでお気に入りの絵本を読み聞かせてもらっているときのように、すっと心に染み渡ります。自分の内側にある「好き」を信じることが、結果として地域を動かす原動力になるのだと、改めて気づかせてくれる温かな時間でした。
2. 教育ワークショップ「ぐち道場」
日々の小さなモヤモヤや“ぐち”。それをネガティブなものとして片付けるのではなく、新しいアイデアの種として愛でるのが「ぐち道場」です。大人も子どももフラットに語り合う姿が印象的でした。誰かの「困った」に寄り添い、時に笑い飛ばしながら解決の糸口を探るプロセスは、道南の教育をより柔らかいものに変えていく可能性に満ちています。厳しさではなく、ユーモアこそが次世代を育む土壌になるのだと感じさせてくれました。
3. 長野×北海道:協力隊を活かす中間支援のかたち
地域おこし協力隊という新しい風をどう受け入れ、共に歩んでいくか。長野と北海道、それぞれの現場のリアルな声が響きました。大切なのは、制度以上に「人間としての関係性」をどう紡ぐか。孤立させず伴走し、時には一緒に失敗を面白がる「中間支援」の存在が、地域にどれほどの安心感をもたらすか。遠く離れた地域同士が知恵を分かち合う姿に、これからの広域連携の温かな希望を見た気がします。
4. 地域共創アクセラプログラム中間報告会
「WASSHOI!」という威勢の良い掛け声とともに始まったのは、学生たちが挑むプロジェクトの報告。函館のマイナスをプラスに変えようと、真っ直ぐな瞳で語る彼らの姿に、会場の大人たちの目も輝きます。若者が地域の課題を「ジブンゴト」として捉え、泥臭く、けれど軽やかに動く姿は、街の景色を塗り替える力強さに溢れていました。彼らの熱い想いが大人たちの経験と混ざり合い、新しい「祭り」が始まろうとしています。
5. 遊び心から始める”分かりやすい”地域DX
「DX」と聞くと少し身構えてしまいますが、このセッションに漂っていたのは「遊び心」でした。技術はあくまで、私たちの暮らしを楽しく、便利にするためのツール。難しい理屈ではなく、「これ、面白いね!」という直感から始まるDXの形が示されました。クールでファニーな実践者たちが語る未来は、決して無機質なものではなく、人の温もりがデジタルを通じてより鮮明に伝わるような、そんなワクワクする景色でした。
6. クリエイティブで切り拓くグローバルで通用する地域
富山県での実践例を交え、地域の価値をどう「ビジョニング(未来を描く)」していくかが語られました。過去の実績に頼るのではなく、まだ見ぬ未来を語ることで人を惹きつける。函館のポテンシャルを「再編集」し、世界に通用する一点突破の魅力を創り出す戦略は、聴く者の背中を強く押してくれました。クリエイティブな視点一つで、見慣れた故郷が「可能性の塊」に変わる。その魔法のような瞬間に、会場全体が息を呑みました。
7. 変わっていく海と、変わらない海
函館の象徴である「海」。その環境の変化を科学的な視点と街づくりの視点の両方から見つめ直しました。失われつつあるものを単に「守る」だけでなく、再生(Regeneration)し、新しい価値を創り出すこと。歴史的な石垣が今も漁港を守っているように、先人たちの知恵を受け継ぎながら、次の世代へどんな海を手渡せるか。波音を感じるような静かな情熱とともに、道南のアイデンティティを再確認するひとときとなりました。
8. みんなで道南に水族館がある未来を描く
「道南に水族館があったら?」という問いから始まった、参加者全員で描く「0歩目」の対話。それは単なる施設の建設話ではなく、「私たちはどんな場所で、誰と、どんな時間を過ごしたいのか」という願いを形にする作業でした。あちこちから笑い声と独創的なアイデアが飛び交います。正解を探すのではなく、みんなで夢を語り合うこと自体が、もうすでに未来の一部になっている。そんな一体感が会場を包み込みました。
9. クロージングセッション
2日間の集大成。多くの言葉が重なり合った最後に残ったのは、晴れやかな笑顔でした。レポーターを務めた学生たちが語る「私たちが描いた道南の未来」は、瑞々しく希望に満ちていました。誰かのための未来ではなく、私たちが私たちらしくいられる場所としての道南。この2日間で生まれた小さな火種が、これから街のあちこちで灯り始める。そんな確信とともに、EXPOは温かな拍手の中で幕を閉じました。
開催概要
| 項目 | 内容 |
| 開催日 | 2025年10月18日(土)、19日(日) |
| 開催場所 | シエスタハコダテ 4F Gスクエア |
| 主催 | 道南サミット |
道南EXPO2025を終えて、私たちの心には心地よい余韻が残っています。ここで交わされた対話は、単なるイベントの記録ではなく、これから私たちが歩む道の「しおり」になるはずです。
あなたも、自分だけの「幸せ」や「面白い」を見つけに、道南の未来を一緒に歩いてみませんか?